シブヤから遠く離れて」 @シアターコクーン

【 作 】 岩松 了
【演出】 蜷川 幸雄
【出演】 二宮 和也/小泉 今日子/ 勝村 政信/ 杉本 哲太/蒼井 優/勝地 涼/清水幹生/立石 凉子
【美術】中越司  【照明】原田保  【衣装】黒須はな子 【音響】井上正弘   楽曲使用:遠藤ミチロウ(カノンほか) 【ヘアメイク】林節子 【小道具】安津満美子、田淵英奈  【舞台監督】白石英輔 【宣伝美術】永石勝  【プロデューサー】加藤真規、松野博文(CX)  【制作】大宮夏子ほか  【共催】 フジテレビジョン Bunkamura 【企画・製作】 Bunkamura
【上演時間】1 幕:1時間25分(休憩15分)2 幕:1時間20分  

●以前借りた金を返すため、友人ケンイチ(勝地涼)が住んでいた家を訪ねたナオヤ(二宮和也)。ふとしたところでケンイチの姿は見えず、そのかわりに娼婦マリー(小泉今日子)が現れる。やがてマリーを愛するアオヤギ(杉本哲太)、アオヤギの同僚フナキ(勝村政信)、マリーが以前住んでいたアパートの管理人フクダ(立石凉子)らが出入りしていた。そしてアオヤギを心配して田舎から出てきたアオヤギの父(清水幹生)や妹のトシミ(蒼井優)らも現れて……。
●まず劇場に入ると目に入るのが、古い洋館の庭に咲く、無気味な黒いヒマワリたち。庭中に生えたヒマワリでさながら林の中を彷徨うカタチに。そのヒマワリたちは登場人物たちの感情の鉾先として効果的に揺らされたり、役者が隠れたりしている。そして古い洋館から時折吹き出す風に吹かれたカーテンが、時には強く、時にはやさしく波をうつ。そう、ナオヤやマリーの感情の波として。本来、舞台転換(野田式の暗転ないやつね)がダイスキなのだが、これはこれですごーく良いものだと。
キョンキョン、最初っから最後までかなり一本調子感も否めないが、心に陰と刺のある娼婦がハマっていた。ニノはもう贔屓目もあり文句無し!もぅ切なくて演技させたらピカイチです。テイストとしては秀一@青の炎×名前忘れたけどスタンドアップの役、って感じ?そうえいば、今回の舞台装置は、奥行きも幅も制限されていた分、ニノみたいなチビッコ向きだったかも。勝地くん、初舞台(しかも連ドラかけもち)ながら堂々たるもの。とにかく 岩松さんの描く人々の感情の葛藤と交錯が、心地よくも切ない。しみ入る舞台だった。普通、良い!と思った舞台は2度見たりするけれど、今回のこれは良い良い!と思っている半面、初見のこの心地よさを大事にとっておこうと思う、そんな特別な舞台でした。