THE SHAMPOO HAT『肉屋の息子』@スズナリ

【作演出】赤堀雅秋
【出演】野中孝光/黒田大輔/滝沢恵/児玉貴志/多門優/日比大介/赤堀雅秋

久々に実家である肉屋へ帰って来た喪服姿の明。実家には弟・清夫婦と、以前からアルバイトとしている池田が変わらずにいた。どうやら母親が死んだらしいのだが、弟は死んだ母親を部屋に放置したまま、通夜も葬式もするつもりはないらしい。それどころか明の幼馴染み・小林が訪ねてくるが、母親が死んだことは伝えてないらしく・・・。やがてひとり台所に取り残された明は、そこで幼い頃死んだ(家を出ただけかも?)父親の幻覚を見る。父親からの告げられる過去の事実と現在の自分を重ねた明は・・・。
ものすっごい何も起こらない、ようにみせてものすごいことが起こる、所謂“静かな演劇”ってやつでしょうか。淡々と日常を描く中、垣間みる鋭利な感情の描写。意表をついた笑いはどこかブラックな臭いも漂わせている。黒田さんの「何でもねぇよ・・・何でもねぇよっ(怒)!・・・・・・何でもねぇよ(哀)」の台詞には“グッツと”きました。観ていた時間はあまりにも淡々と進む物語にイライラしていたけれど、こうやって思い返すと味わい深いものがあり。舞台ならではなのかな、この静かな感じは。