タマニネ

ワニを素手でつかまえる方法」 2002.2.14〜3.13

【作・演出】岩松了

【出演】

  • 小林薫 :フレディ若狭
  • 緒川たまき :ユキ(ホテル経営者)
  • 徳井優 :島田(支配人)
  • 片桐はいり :うさぎ(娼婦)
  • 佐藤銀平 :ネンジ(娼婦の息子)
  • 小澤征悦 :ハジール(日系二世のインドネシア人)
  • 田中哲司 :亀山(宿泊している小説家)
  • 三谷昇 :森脇(暴力団組長)
  • 岩松了 :和久田(暴力団組員)
  • 荒川良々 :丸尾(暴力団組員) 

【美術】磯沼陽子【照明】沢田祐二【音響】藤田赤目【衣裳】前田文子【舞台監督】山岡均 【制作】パグポイント・ジャパン

船が1日1便しかこないさびれた港町のホテルで、暴力団組長が娘のためにワニの不正輸入をするため、取り引き相手の日系インドネシア人・ハジールを待っている。ホテルのオーナーであるユキは、チェックアウトしようとする元流しの歌手であるフレディに気が有る様子。やがて船がつき、ホテルを去るフレディと入れ代わりにハジールが到着。しかし先についていたワニがオリから逃げて・・・。船に乗り遅れないよう5分進めてあるホテルの時計、その“善意の5分”が引き起こした、余分の一日のお話。
●登場人物それぞれの描写が巧みで。相当な人生を過ごしたとカンジさせるに貫禄十分な組長役の三谷昇さん、過去を背負って生きるフレディ役の小林薫さんなんかは格好よすぎ!明るく振る舞いながらも奥に悲しみを感じさせる娼婦役の片桐はいりさん・・・etc。そして今ワタクシイチ押しの田中哲司さんは、とにかく存在がエロティック!なんてことない行動しかしないながらも、色っぽい!
途中、自分の体の異変に気付いた丸尾(荒川良々)が笑い転げる場面で、そのおかしさと悲しさに涙。2つの選択肢(組長の娘と結婚か組を抜けるか)に迷ってどちらも選べなくて、でもどちらも何とかしたくて。そんなシーンをあんな形で見せられたらもう、切な過ぎる。
今日、たまに お昼を食べに行く店で「コーヒーは食後でしたっけ?」といわれた。「いつもどーも」という直球ではない、遠回しの言葉。岩松さんの「ワニを素手でつかまえる方法」はそんな芝居だった。こーゆー静かな演劇も「たまには」良いものです。いやほんと、贔屓目無しで良い芝居だったんです。